5.たぬきがブタ太に渡した約束事
どんな事を紙に書いたのか?
たぬきがブタ太に渡した紙には、どんなことが書いてあったのでしょう。
少したぬきとブタ太の会話を覗いてみましょう。
「いいか、ブタ太! ボクがノートをチェックして、もしもおまえがズルをしていることがわかったら、オオカミにひどい目にあわせてもらうからな! そのかわり、ノートをチェックする前日には、必ずブタ太かブタ三に電話してやるよ」
実は3びきのこぶたの世界と同じ事が、税務調査の世界でも起こっていました。このたぬきがブタ太に渡した紙こそ、2012年9月に出た「国税の調査に関する法令解釈通達」なのです。
税務調査とは
この通達で初めて、税務調査に関する明確な定義がされました。
ではもう一度、たぬきの言った言葉を思い出してみましょう。たぬきは、ノートをチェックする目的をハッキリと言っています。
「たぬき(=税務職員)がチェック(=税務調査)した結果、もしもブタ太(=会社)がズルしていたら、オオカミ(=国)にゴツンとしてもらう(=罰を与える)」と。
つまり、税務調査とは、誤解を恐れずに一言で言うと、「税務職員が処分目的で行う調査」と定義されます。
たぬきの本当の目的
ではたぬきは、ブタ太を懲らしめることが本当の目的かと言うと、そうではなくて、ズルしないできちんとオオカミにお金を払うことが本当の目的のはずです。
税務調査でも同様で、処分目的で調査する場合、つまり税務調査の場合には前回お話しした事前通知(たぬきが前日にブタ三に電話すること)を必ずしますよと言っているに過ぎません。
ちょっとくどいかもしれませんが、冒頭でたぬきが3びきのこぶたたちと約束したように、処分目的の調査を行う場合には、実際にゴツンとするかどうかはともかくとして、決められた手続き(例えば、事前通知)をしなければならないと約束した訳です。